カヴァー // Cover Song

My Best Hits of the Cover Song

この瞬間ですらも世の中に生み出され続けているであろうカヴァーソング。
そもそもよく聞くカヴァーとかリミックスとか、はたまたアレンジとかって何が違うの?って人もいるかもしれない。実際に私自身も音楽をやっていたくせに数年前まではあまり知ろうともしなかったし、よくわかってなかった。

音楽用語自体、業界人でない限り、世の中の人にはあまり浸透されていないように感じる。定義付けもやや曖昧だったりすることもあってなのか、私自身もあまりよくわからないなぁと思うこともいまだに結構ある気がしている。

音楽ってモノじゃなくだからなのか、数字や物体として存在するわけじゃないし、全体的に感覚や捉え方にかなり左右されやすいのかなと感じる。だからこそ定義が曖昧になるのも仕方がないのかなと・・・。これはあくまでも個人的な見方なんだけど。

話を戻すが、この「音楽用語」を当然知っていても知らなくても音楽はまぁ楽しめるから、生活するうえではそんなに重要視されない部分でもあると思うのだが、決して知っておいて損になることもなければ、認識しておくことで音楽の聴き方という部分の幅が広がることもあるのではないかなと思っている。

そこで本題に入る前に、あちこちで聞くこのカヴァー / リミックス / アレンジの違いを一般的に言われている内容で簡潔に説明すると、

Cover:第三者が演奏したもの。

Remix:元々の素材を使用して改変したり、新たに別素材を加えたりしたもの。この場合は元の音源データ(トラックデータ)を使用している場合がほとんど。(ボーカルがオリジナルと同じ、などがわかりやすい例)

Arrange:編曲し直しされたもの。(オリジナル音源がバンド演奏だったなら、それがオーケストラ演奏されているものはアレンジになる。)これは、作曲者本人が作品を出すこともあるし、第三者の場合もある。作曲者本人が再編曲する場合は、リアレンジとも言われたりする。
じゃあ、第三者がアレンジする場合はどうなるの?って疑問が出てくるんだけど、編曲自体の概念がはっきり定まっていないというか広すぎるので、恐らくカヴァーの部類になって、その際にアレンジも加えましたってな具合になると思われますが、詳しい人がいたらTwitterやコメントなんかでぜひ私にも教えてください。笑

まぁなんとなくこういうことかと改めて復習したところで、今回はわたし的ベスト・ヒット・カヴァーソングというテーマで選曲してみました。どれも本当に思い入れのある曲ばかり。

My Cherie Amour / Stevie Wonder(1969)

Stevie Wonderは自分が生まれたばかりの頃に両親がよく聴かせてくれた。そのおかげか、Stevie Wonderを聴くと家族との時間をすごく思い出す。特にこのMy Cherie Amourは年齢を重ねれば重ねるほど、聴けば聴くほどいい曲だなぁと感じるいわゆるスルメ曲。Stevie Wonderの曲の中でも特に思い入れが強い。

こちらのMy Cherie Amourは全世界の有名なミュージシャンからアマチュアの方まで、本当に多くの人に愛され、カヴァーをする人がとても多くみられる。まずはオリジナル曲を改めて聴いてみよう。

 

こちらの楽曲は、スティービー・ワンダーが当時の彼女に書いた曲だと言われており、個人的には歴史上に残る最高のラブソングのひとつではないかとさえ思っている。

さて、このラブソングをギターとボーカルのみでカヴァーされているこちらをぜひ聴いてみてほしい。夕暮れ(かな?)の屋上というシチュエーションが抜群にいい!そして、Jessi Mason(女性)の声も透明感があってラブソングにぴったり。癖がなく聴きやすいし、ラブソング特有のスウィートな色気がまた美しいと思えるカヴァーソングのひとつ。

 

この他にもタイのジャック・ジョンソンと呼ばれているシンガーソングライター、Singto Numchok(シントー・ナムチョーク)のMy Cherie Amourのカヴァーもすごく良い。まず声がめちゃくちゃいいし、原曲の雰囲気を見事に残しつつ、彼の温かみのあるサウンドを感じられるカヴァー。こちらはオフィシャルがなかったのでSoundCloudで検索してみてください。

Smells Like Teen Spirit / NIRVANA(1991)

伝説のロックバンドNIRVANAの名曲 ”Smells Like Teen Spirit ” は、バンドを組んだことがある人は1度はコピーしたことがあるのではないかってくらい有名な曲ですね。ロックバンドとあちこちで言われてはいるものの、ハードコアやパンクに敬意を評しロックを嫌悪していたという話もちらほら。

ドラッグやアルコールに手を染めてしまうほどの苦悩や苦痛を伴いながら生み出された名曲であることや、NIRVANAのフロントマンであるカート・コバーンの死、歌詞などから、私のような凡人が理解できる域をはるかに超えていると思ってしまっていた当時は、フラットに聴くことが出来なかった。

私の周りではカート・コバーンが生み出した名曲、Smells Like Teen Spiritをカヴァーしたり、カート・コバーンに憧れギターを始めて手に肉刺ができるほど毎日練習している友人がいたりもした。その影響もあってSmells Like Teen Spiritを耳にする機会も少なくなかった。

まずは原曲を、あの頃を振り返るように聴いてみようではないか。

 

この歴史的名曲は先程と同様、多くの人に愛されカヴァーされまくっているわけなんですが、
その中でもいろんな意味で衝撃的だったのは、Robert Glasper Experimentのカヴァー。
今回はExperimentではなく、Robert GlasperのSmells Like Teen Spiritを貼ってみる。

 

狂気のオーラに満ちたのカート・コバーンの生々しい歌声の面影は一体どこへやら・・・。
もはや全く違う曲のように聴こえるでないか。

ピアノの旋律は実に繊細で美しい。暴力的かつ攻撃的な原曲の印象はここにはなく、個人的にはSmells Like Teen Spiritの生みの親、カート・コバーンの生きづらさや苦悩を客観視した第三者目線がなんとなく感じられるカヴァー。

アーティストが違えば楽曲は色を変えるのはもちろん当然で、それを批判する人がいるのもアーティストへの愛が故ということももちろん理解できる。

だが、カヴァーをする・したいと思う背景には、原曲のかっこよさだけでなく、これでいうカートやニルヴァーナの強烈な印象やその生き様、バンドとしての姿を知り心を打たれ、なんとも言葉にしきれない愛情や尊敬など溢れんばかりの思いを込め、カヴァーソングが生まれているという事実もやっぱり多く存在するんだろうと思ったりする。Robert Glasperがそのような意図でカヴァーしたかどうかまでは、もちろんわからないんだけれども。

Say You’ll Be There / Spice Girls(1996)

1994年に結成されたアイドル・グループ、Spice Girls。デビュー曲のWannabeは誰しも耳にしたことがあるのではないだろうか。

大人のセクシーさと可愛さを同時に兼ね備えた世界的アイドル。90年代イギリスミュージック・シーンでは爆発的な人気を博し、90年代に発売されたアルバム2枚が全世界で400万枚以上売り上げたという情報まである。ミリオンセラーとかの比じゃない。笑

まずはさっそく原曲をば。

 

ヴィクトリア・ベッカムが踊っててなんかかわいい。笑
私自身、スパイス・ガールズは有名な曲しか知らなかったりするわけなんだけど、好きなバンドがカヴァーをしていたことをきっかけにオリジナルのほうにも興味を持って聴いてみるに至った。

 

ツインボーカルの女性たちが奏でるハーモニーがとっても美しいし、すごく聴きやすいポップなテイスト、ベースがグルーヴが非常に好みである。
楽曲を聴いて純粋にいいな~って思っていたんだけど、Maddie Jay & The pH Collectiveのカヴァー曲に対する素晴らしさに感動したのはこれだけではなかった。Youtubeの概要欄にはこんなメッセージが書かれている。

「Of course, the original cannot be beat.」=Google先生に翻訳によれば、” もちろん、オリジナルを打ち負かすことはできません “ 猛烈にこのメッセージを読んだ時に感動した。

近年はステムデータ(オーディオのトラックデータ、さらに詳しく知りたい人はググって!笑)を無料で配布してくれたり、二次創作などに寛大なアーティストも増えてきた。
だけどやっぱりオリジナルの作者側は当然、自分の作品に誇りを持っているからこそ、二次創作に強く反対するという人も少なくはないはず。作品のイメージを壊されたりなんてされたもんならたまったもんじゃないし。それ以外の部分でも特に日本は、著作権や原盤権なんかに厳しい取り締まりもあったりする。こういった点からも、カヴァーする側や二次創作をする立場のアーティストやクリエイターは、原曲側のアーティストやバンドの意思、作品に込められた思いなどをセンシティブなものとして扱い、尊重すべきだと思う。

This Must Be My Dream / The 1975(2016)

最近見つけたこちらのカヴァーがめちゃくちゃかっこよかったのでラストに。

2002年、流星の如く現れたイギリス・マンチェスター出身オルタナティブ・ロックバンド
The 1975。2013年のGirlsで知ってから、すっかりMatthew Healyのファンです。笑(聞いてねー)

2nd Album「I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It(君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。)」という、中二病オーラ漂うとんでもなく長~いアルバム名のこちら。

こちらの14曲目に収録されているThis Must Be My Dream。
個人的にはリズミカルな曲のほうが好きで前半のUGH!とかばっかりを聴いていたんだけど、後々この曲がスルメ曲的立ち位置となり、ジワジワときた。笑
それでは、まずは原曲を聴いていただきたい。(YoutubeではPreviewしかなかった)

 

ボーカルMatthew Healyの尊いのに力強いハスキーボイスのハイトーンが胸にグッとくるアルバムの後半にふさわしい神曲。カヴァー曲の方はSoundCloudで色々聴いていたら発見したんだけど、The 1975のオリジナルのアレンジとは180°異なる、完全にチルってるとか言われちゃう系のやつになってる。(語彙力ゼロ)クラブ行きて~(嘘です。)Mahatamtamaの声も儚げで独特でいい味出しててすごくいい!

 

しかしこのDerry Haudinって人、何者なのかよくわからないんですがご存知の方いたら教えてください。笑

今回は少し長くなってしまったけれど、音楽が生まれ続ける限りカヴァーソングは、それ以上に生まれ続けるのだと思うと、非常に可能性を感じる音楽の分野である。

例えば、今の10代の子らが歌謡曲に触れる機会が少ないのは当たり前。それが二次創作と呼ばれるカヴァーソングなんかによって元の原曲を知る機会が得られたりするわけで、カヴァーやリミックスなんかは音楽の視野や可能性をもっと広げてくれたり、これまでリーチされなかった世代やジャンルなんかにも向けても、先入観や偏見を軽々と取っ払ってくれるような重要な分野になれば、音楽はもっと自由に面白くなっていくんじゃないかと思う。

▼ This week’s Select Music