Computer // コンピューター

愛嬌溢れるチップチューンの魅力!

年の音楽傾向として、コンピュータースペックの向上や音楽制作ソフトウェアの普及によって、制作や演奏、表現の幅がぐっと広がり、様々なカルチャーが生み出されるようになった。以前にも増して “モノづくり” の現場ではデジタル化が進みつつあるのではないだろうか。

例えばEDMやテクノなどのジャンルもシンセサイザーやシーケンサー、リズムマシンなどが用いられていることから、一般的にコンピューター・ミュージックのイメージが強いと思われるが、今回はゲームが大好きだったことから「元祖コンピューター・ミュージック」だと個人的に思っている、チップチューンという音楽ジャンルをメインに楽曲をピックアップしてみる。ファミコン世代ならばきっと愛着があるであろうジャンルでもあり、馴染み深いサウンドなのではないだろうか。

そもそもあの時代のゲーム音楽だが、ファミコンでは8bit CPUを搭載、スーファミは16bit CPU搭載していたため、あのような愛嬌あふれるサウンドだったわけなのだが、コンピューターのスペックが向上、時代と共にゲームサウンドもクオリティが高いものへと進化し、現代では聴く機会が極端に減ってしまった。

今回は、そんな子供の頃の思い出を再び蘇らせてくれるコンピューターサウンドを、現代でも意図的に使用している作品に触れていきたいと思う。

ドラマチックなピアノとの融合が素晴らしい
aivi & surasshu / Lonely Rolling Star (Missing You)

Bandcampで曲を漁っていた時にたまたま見つけたaivi & surasshuThe Black Boxっていうアルバム。こちらのトラック3に収録されているLonely Rolling Star (Missing You)という楽曲にドハマリし、最近鬼リピートして聴いている。ポップで可愛らしい楽曲。

こちらの楽曲は、2004年にナムコから発売された塊魂というアクションゲームの楽曲らしく、カヴァー曲となるようだ。塊魂サウンドトラック「塊フォルテッシモ魂」のトラック6に収録されているオリジナルもぜひ興味があれば聴いてみて頂きたい。

 

二人は夫婦であり、それぞれaiviがピアニスト兼コンポーザー、この映像に姿は映っていないが左側で演奏しているのがsurasshu(Steven “surasshu” Velema)であり、彼のほうはチップチューンアーティストとして活動。様々なゲーム音楽やサウンドを手掛けているようだ。ゲーム音楽を担当しているという職業からなのか、カヴァーしたのが日本のゲーム音楽というややマニアックな目のつけどころも面白い。また、それぞれがメロディー・伴奏とパートがはっきりしているわけではないのも面白い。場面によってそれぞれのパートがコロコロと変わり楽曲に色付けがされている。

surasshuが担当するチップチューンのポップさと、aiviのドラマチックなピアノが見事な化学反応を起こしている素晴らしい作品。デジタルとアナログのバランスや波長がとても心地良い。私自身もしばらくヘビロテとなりそうな最近のイチオシである。

日本を代表する世界的チップチューンユニット
YMCK / Magical 8bit Tour

音楽をやっていた時の友人から教えてもらったYMCK。初めて聴いた時には衝撃が走った。懐かしさが蘇ってきたし、8bitへのこだわりをひしひしと感じられる楽曲たちにも感動。それだけではなく、おしゃれフレーバーまでも醸し出すサウンド。ディズニーランドばりのドリームワールド感が炸裂している。

 

アーティストとしてだけでなく音楽制作ソフトウェア用ソフトシンセ、Magical 8bit Plugを制作していたり、音楽においても8ヵ国以上の国際的な国外フェスなどに出演したりなど、世界からの評価も高いYMCK。

荒井由実のルージュの伝言や小田和正の言葉にできないなどの名曲カヴァーも多く、8bitで表現されるややコミカルなアレンジがとても斬新。栗原みどりさんの可愛らしいボーカルも際立っており、この絶妙なニュアンスは彼らにしかもはや出せない、まさに独自のジャンルである。

これまでにも多くの作品をリリースしているYMCKだが、8bitという尖りまくったサウンドを貫き通す音楽性がとてもかっこいいと感じる。世界的にも8bitミュージックユニットとして唯一無二であり、不動の地位を得て支持されていることは間違いないだろう

21歳の若きトラックメイカーが織りなすクールかわいい
Snail’s House / Pixel Galaxy

“Kawaii” Future Bassの提唱者でもあり、21歳の若きトラックメイカーSnail’s House。(別名義:Ujico*)

仕事がいまいちはかどらないなぁって時に、生産性があがるような音楽がないかと探していたところ、こちらもBandcampで出会って即買い。生産性どころかテンションもブチ上がりするこちらのアルバム。タイトルトラックとなっているPixel Galaxyのイントロは、ゲームボーイ・スーファミ愛が強い世代にはたまらないサウンドではないだろうか。

 

ジャケットや楽曲から感じられる、一貫された独自の世界観と強烈なインパクト。新たなジャンルの提唱者としての存在感を堂々と見せつけられる作品。21歳の若き才能恐るべし。

Snail’s House名義の楽曲はチップチューン要素がわりと強いが、別名義のUjico*作品はSnail’s House名義のものとは雰囲気が全く異なりチップチューン要素はなく、幻想的かつ疾走感溢れる楽曲が多いように感じる。だが、どちらも驚くほど中毒性が高い。

これからどんな世界観や作品で私達を感動させてくれるのか、今後の活躍が楽しみな若手アーティストの1人。

フランス出身!萌えfuture bass界期待のホープ
Fusq / Perfume!

日本のDJ、音楽プロデューサーである中田ヤスタカサウンドから影響を受けた音楽スタイルと、萌え系サブカル要素が盛り込まれたジャケットなどが特徴的なFusq
彼の作品をみると、随所に日本のサブカルフレーバーを漂わせているが、実はフランスのミュージシャンであるというところがまた面白い。いかに国内外で中田ヤスタカの才能が評価され、影響を与えているかということもよくわかるし、日本のサブカルが海外で相当な人気を誇っているのかを知ることが出来る。

 

ピコピコとした8bit風の印象的なイントロからリズミカルなシンセ、ジャジーなアレンジなど振り幅の広さも魅力的。future bass寄りではあるが、癖の少ないスタイリッシュでクールなテイストのものが多いように感じるので、比較的誰にでも聴きやすいアーティストではないだろうか。

FusqというアーティストもBandcampで見つけたトラックメイカーなんだけど、フランス在住という情報しか見当たらず、TwitterやFacebook、Instagramもやっているけど情報がかなり控えめ。笑 詳しい方がいらっしゃいましたら教えてくださいませ。

今回このテーマで色々な記事を見たんだけど「Future」ってつくジャンルが最近増えているようだ。既存で存在していたジャンルから派生したジャンルだったり、まだまだ未開拓だったり定義もはっきりとしていないものもかなりの数存在するのだろうけれど、表現方法、アプローチの手段も型にはまらずオリジナルを発信していくアーティストが今後どんどん出てくるのだろうなと思うと、とても楽しみである。

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